0016 葛飾 ジュリア 蛹 編 (21/91)

待機室で髪を盛ってもらったり、さらに化粧をしたり。


普通にフリーのお客さんに着いて、取り留めのない会話をして。


さっきの出来事は疑問で一杯だったし、セイヤの事もあるけど、仕事へのスイッチが、それらを忘れさせてくれた。


でも。


『 キュイ──ン 』


口の中の器具が突然震える。


「へっ?」


なにこれ。


「ジュリアさんお願いします」


戸惑うジュリアをボーイさんが呼ぶ。立ち上がって、呼ばれた席に向かうと視線の先に紅い髪のサチさんがいた。


『 キュイ──ン 』


また鳴った。


これって絶対あの器具からだ。でも目の前にサチさんがいる。


「あー サチさんおはよー」


疑問や戸惑いをグッと抑えて、普通に挨拶をした。


「おはよ」


素っ気ないサチさんの挨拶。


サチさんはジュリアのお店の先輩。この人がジュリアの事を嫌いなのは知っていた。


第一印象は紅い髪と黒い肌に銀のブレスが印象的で、派手なルックスと肉食な雰囲気が怖かった。


姉御肌って感じで悪い人じゃないのは分かるけど、0か100かの仲間意識というか派閥意識が強くて苦手だったんだ。昔からこういう人に好かれた試しがない。


この人の前ではヘラヘラしているのが1番無難だと思っている。