0004 目黒 マサカズ (20/29)
ルシエの言葉で、俺は反射的にフロントガラスの先を見ると、道路際の歩道を、大学生くらいの若者が歩いていた。
持っている荷物と来ているジャージの雰囲気から、テニスか何か、部活の帰りだと分かる。
「行け」
「えっと」
「言われないと分かんねえの!?車近づけて 助手席にぶち込むんだよ!」
俺はその指示でギアを切り替え、サイドブレーキを解除し、車を走らせた。
対向車側の車線に侵入し、道路を逆走して若者の前に車を止める。
幸い車通りは無く、その時は他に車も人もいなかったが、突然目の前に現れた車に、若者は驚いていた。
俺はすぐに車から降り、とにかく若者を捕まえて助手席に入れようとした。
もちろん若者は「なんすか!なんすか!」と言いながら抵抗してきたが、俺の方が身長はデカイし体格もいい。
何回か肘や足で殴られたが、ルシエが助手席のドアを開けていたお陰で、すんなり若者の体の半分を車に入れることができた。
大声を出そうとする若者の口を片手で塞いでいたが、噛まれる。
ルシエの「押さえろ!」という指示に、俺も必死に痛みに耐えて口を塞ぎ続けた。
すぐに助手席に押し込むことに成功する。