0016 葛飾 ジュリア 蛹 編 (13/91)

「自殺とか?」


「死因はどこにも載っていなかった」


そっか、今のって全部インターネットで知った知識なんだよね。リュウオウ君はディスプレイに映るエリザベートの絵画を見ている。


「すごいよねえ」


照らされた幼い表情は、トランペットを欲しがる少年みたいにうっとりしていた。


「好きなの?」


「え?」


リュウオウ君は不思議そうにジュリアを見る。


「リュウオウ君は このエリザベートさんが好きなの?」


「好きとかじゃなくて 興味だよ」


興味?本当、表現が子供らしくない。


「この人が拷問をしている時 どんな気持ちだったんだろう?」


リュウオウ君は興奮した様子で話し続ける。


「された方の女の子達はどんな気分で拷問を受けていたのかな?」


ジュリアもジュリアで、夢中になってエリザベートさんの話を聞いていたけど。


「僕はこの人たちの現実から生まれた 情緒 が知りたい」


リュウオウ君の横顔を見たジュリアは、心底怖いと思った。


この子は、赤ずきんちゃんや桃太郎みたいな、普通の子供が楽しむおとぎ話の代わりに、こんな残酷な歴史の話を見聞きしてきたんだ。


セイヤ。


助けてセイヤ。


ジュリアは、この家が怖い。


母親はどうして子供がこうなるまで放っておいたの?


おかしいよ。


この家は何かがおかしいよ。