0004 目黒 マサカズ (18/29)

俺は何も言えないまま車を走らせている内に、ルシエの様子は落ち着いたが、時々「うっ」「うっ」と気持ちの悪い、何かを我慢しているような声が聞こえる。


泣いているのか?


紙に書かれた住所付近に着くと、何回か車から降ろされ、くそ寒い中、電信柱などにある丁目や番地を確認させられた。


やっと住所通りの場所に着くと、そこは住宅に囲まれた、道路沿いの至って普通の一戸建てだった。


幸いなのか、近くに車を路駐できる広い道路があり、そこから目標の家付近の道がよく見える。そこに車を止めるように指示された。


俺は、現地に着いて初めて、仮にルシエを2回目にレイプしたそいつを見つけたらどうするのか、疑問に思った。


しかし、下手なことを聞いてもろくな返事が返って来ないのは、いい加減学習している。ルシエは何も聞かなくても、後部座席から俺に言った。


「そいつが来たら 拉致して車に入れて」


ほら、ろくなことじゃない。どうせ。


「もちろん お前がな」


俺がな。


もう怒りや憤りじゃない、諦めや疲れを感じている。