0015 台東 フジコ (47/58)
「あ えっと」
中野タイジュもリュウオウを見る。
「どいて」
私がそう言うと、足立シヲリと中野タイジュがプール側に一歩避けて、道を開けた。
私の位置からは見えなかったけど、リュウオウが私を通す事を許可したのでしょう。
私は横目で一瞬、足立シヲリが移動した位置を見てから、杉並さんを見る。
「はあ ひっ ひっ」
彼女は口と鼻息を不定期に鳴らし、不器用に呼吸をしようとしていた。
典型的な過呼吸症状ね。
私は周りの人間に言う。
「誰か車からビニール袋を持ってきて」
けれど、その場で立っていられるのはリュウオウの奴隷のみ。
誰もが動こうとはしたけど、まずリュウオウを見た。
それに気付いた私はリュウオウに振り向く。
「ビニール袋を持って来るように命令して!」
私に言われるまで、リュウオウはボーッとこちらを見ているだけだった。
「早く!」
「タイジュ 持ってきて」
「あ ああ」
リュウオウが中野タイジュにそう命令すると、やっと時が動いた。
SCMってつくづく面倒臭いわね。