0015 台東 フジコ (34/58)

大田ユウガは何も言わない。


そして何もして来なかった。


「もっと賢い人かと思ったけど なんだか ヤッスくなったわねー」


安いという言葉を強調すると、大田ユウガは口を開いた。


「満員電車でケツに注射するのが上品なんすか」


彼は多才と見せかけて、私みたいな常軌を逸した人間に対するコンプレックスが強く、プライドも高い。


要するに天の邪鬼(あまのじゃく)で目立ち屋なのよね。


歳はとりたくないもので、そういう事ばかり見抜けるようになる。



「男はみんな強い女が怖いの」



「は?」



大田ユウガの疑問の声と同時に、足立シヲリがポケットに手を入れたのを視界の外れに感じる。


携帯か何かイジッてるわね。


リュウオウ側が何も用意しないで、奴隷を5人もかけた勝負に参加するなんてあり得ない。


イカサマで伏兵や助っ人ぐらい用意しているでしょう。


それが私にとって不利になる可能性があっても、時間を稼いで彼の注目は誘ってあげる。