0015 台東 フジコ (19/58)

「彼だけ名前が分からないの 教えてくれない?」


私は中央アタルを見たまま、謎の青年を指した。


中央アタルは黙る。



「別に名前ぐらいで不利になったりしないわ どの道 勝負をした後は どちらかの軍門に下るんだから」



その内、互いの素性なんて全部バレる。


言葉にはしなかったけど、そんな意味を込めた。


一瞬の間の後。



「品川 ゼロって言います」



当の本人が自ら名乗った。



「ゼロくん カッコいい名前ね」


私はゼロくんにそう言ったけど、本人はそれから何も話さない。


シャイなのね。


彼もいいわ。嫌いじゃない。


ただの勘だけど、彼には何か秘密がある気がする。


私がゼロくんに注目していると、中央アタルが話し始めた。


「場所はこっちが決めた 勝負の内容を早く言え」


「そうそう」


忘れてた。場所の指定はリュウオウ側にまかせた。


代わりに私達は、直前に決まったこの場所で勝負を指定する事になっていた。