0014 大田 ユウガ (58/60)
「アヤカまで取られた」
「アヤくんは元々あんたのもんじゃないけどね」
エイアのツッコミに、僕の勢いがシュンとなる。
奴隷になってしまった以上、彼女の言葉は絶対だ。
だが精神の自由はまだある。
「ただ ひたすらに悔しい」
「ムカつく?」
僕は振り返ってエイアを見た。
「ああ ムカつく」
エイアは助手席に腕を回してこちらを見てきた。
「ムカちゅく?」
「ムカちゅ は?」
エイアは笑いながら、僕の頭をガッと掴んだ。
「怒るな やり返せ」
「え?」
「By クリントン大統領」
「それジョン・F・ケネディの言葉だよ」
「あれ?まあ いいじゃん」
僕が笑うと、エイアも笑った。
けどエイアはすぐに真剣な瞳を見せる。
「怒るくらいならやり返しなよ」
「エイア」
エイアはズシオウマルの頭を撫でる。
「ゼンイチって奴も ズシオウマルを散々殴った」
見てみると、ズシオウマルの目元には血を拭いた後がある。
そうだ。エイアとズシオウマルはゼンイチから逃げて来たんだ。
「ゼンイチは?」
「分かんないけど もしかしたらまだあたし達を追っているかも知れない」