0014 大田 ユウガ (14/60)
「ありがとう」
僕は嫌みのつもりでお礼を言った。
お礼は言っても謝るもんか。
「え?」
頭のおかしい女の疑問の声を置いて、一気にしゃがむ。
そして目の前にある男女の足を無理矢理こじ開け、前に突き進もうとした。
ガッ
「は?」
だが今度は僕が疑問の声を挙げる。
目前の足が、頑(かたく)なに僕のハイハイを拒んだんだ。
しかも目の前にいた2人分の足が同時にだ。
そしてすぐに両側から腕を掴まれる。
僕の腕を掴んだのは、目の前にいた女と男の2人だった。
頭に過(よぎ)る2つの言葉。
"こいつらもグル"
"奴隷もここにいた"
「ちぃ」
仲間がこの場にいる可能性は考えていなかった!
自分の失敗に違和感を感じる。
なぜもっと吟味(ぎんみ)しなかった。
考えが猪(いのしし)みたいに真っ直ぐだったんだ。
僕は、もっと冷静なはずなのに。
僕はそのまま立たされた。