0004 目黒 マサカズ (7/29)

けど、一応幸運のお守りだしなあ。


『 キュイ──ン 』


まただよ。この不快感といったら。スロットどころじゃない。やっぱ外すか。


俺が数秒間、迷っていると。


隣に女が座った。バックを床に置いたのを隣に感じる。


「久しぶり」


雑音の中でも俺に聞こえる声で、女は俺に話しかけてきた。客が少ない為か、パチ屋の中はそんなにうるさくない。


俺はビックリして、一瞬で逆ナンという言葉や、昔見た幸運のアクセサリーの広告みたいに、女に囲まれたハーレム状態の男の写真を思い浮かべた。


隣に座った女を見る。


耳が隠れるくらいの品のいい茶色い髪に、細いが濃い眉とグリっとした目付き。座っていても背が低いと分かる。


あれ?こいつは。



「覚えてる?」



ルシエ。



「あ ああ」



間違いない、この前、俺がヤって、山に捨てた女。ルシエだ。



俺は頭が真っ白になる感覚を初めて体験した。指先が冷たくなり、血の気が引くとはこのことだと思った。



次に、この場からダッシュで逃げることを考えた。



「ねえ 勝負しない?」



「はっ?」



「この場に合った勝負をしない?」



ルシエは訳の分からないことを言い出した。



「た 例えば?」



俺はテンパってたのか、反射的に聞き返した。ルシエは自分の座った台を見る。



「あたしもあんたも今座ったばかりだから これから20分間 2000円で どっちがよりメダルを残すかってどう?」