0013 品川 ゼロ (102/103)

中央さんの車は、駅前のロータリーの内側に停めてあります。



けど僕は、中央さんの車の、助手席側の手前で立ち止まりました。



乗らなきゃいけないけど、乗りたくない。



僕は車に乗り込むのを躊躇(ちゅうちょ)していました。



「どうした?」



中央さんが不思議そうに僕を見ます。



「乗れ」



リュウオウが後部座席の窓から顔を出し、僕に車へ乗れと命令します。



乗れ。乗らなきゃ。乗りたくない。



「乗れ」



リュウオウは、さらに強い口調で僕に命令しました。



乗らなきゃ。乗らなきゃ。



乗らなければいけないという重圧が、僕の背中を押します。



ですが僕の手は車のドアノブから動きません。



「乗れって 僕は命令してる!」



とうとう、リュウオウは高い声で怒鳴りました。



ガチャ



僕はリュウオウの勢いに、慌てて助手席のドアを開けました。



けど今度は足が動きません。



「どういう事だ?」



中央さんはメガネの位置を直しながら、眉間にシワを寄せています。




「SCMが効いていない?」