0013 品川 ゼロ (95/103)
中央さんは僕が問題を出した直後、少し息を吸い込みました。
「すまんな」
そして、低い声で言います。
「答えは 5問目 だ」
やけにゆっくりに感じたひと時。
僕の負けが確定しました。
「カチカチって鳴ったろ それが勝敗が決まった合図だ」
たしかに、さっき口の中のSCMが鳴ってから、僕は心臓がドキドキして緊張感を感じています。
僕 完璧に負けたんだ。
あんなに色んな思いをしたのに。
たくさん考えたのに。
こんなにさりげなく、あっさり負けるなんて。
今までの人生で、ここまで感情の起伏が激しかったひと時はありませんでした。
「勝負なんて 人生なんてこんなもんだな」
僕の心を見透かすように、中央さんはそう言いました。
僕の物語はもう 終わりなのか。
「まあ 何も言わずに聞いてくれ」
中央さんは、胸ポケットからタバコとライターを取り出し、僕に言います。
「君はよく頑張ったが 君は負けて奴隷になった」
奴隷。
実感はないけど、僕は中央さんの言葉に何も言えません。