0013 品川 ゼロ (86/103)
「まず長針の位置は固定だ 時計の3時の位置に長針は確かにある」
中央さんは足を組み直し、次に僕の方に腕時計を見せて説明を続けます。
「じゃあ短針が3時ちょうどの時 長針はどこにある?」
「12時の所」
僕より先に、少年が答えてきました。
「12時の所です」
少年の発言をシカトして、僕も同じ答えを言いました。
3時ちょうどの時、短針は3時の位置で、長針は12時の位置です。
僕の頭の中には、90度の角度の長針と短針がありました。
「そう 長針は12時の位置だ」
中央さんはゆっくりと、小さな子供に教えるように話し続けます。
「問題は 3時15分の長針と短針の位置だ」
「はい」
「長針が12時の場所から15分進んで 3時の場所にきた」
「はい」
「この時 短針も15分ぶんだけ3時から4時にわずかに進んでいるんだ」
「あ」
なんとなく分かった気がする。この問題の大切な所はそこだ。
僕は固定観念というか、想像力の無さで、3時の位置ピッタリで静止している長針と短針を想像してしまったんだ。
それが根本的に間違っていた。
長針も進めば、短針もわずかに進んでいる。
確かにそうだ。当たり前なのに気付かなかった。