0013 品川 ゼロ (56/103)
呆れた様子の男の態度に、恥ずかしくなりました。
「知りませんでした」
僕がそう言うと、男より先に少年が口をだします。
「知ってるよ おじさんが決めていいよ」
少年の発言に、僕はイラっとしました。
そんな大切な話、もっと早く言ってよ。しかも相手に勝負の内容を決めさせるなんて、どうかしてる。
「ハハ しっかりした弟だなあ」
男は特に気にもしていない様子でそう言いましたが、僕自身は無駄に恥ずかしい上に、不安を感じていました。
勝負を決められてしまうんなんて、圧倒的に不利じゃないか。
「けどいいのか?君のお兄ちゃん おじさんの奴隷になっちまうぞ?」
他人の大人から聞く奴隷という単語に、僕は違和感を感じます。
奴隷なんて言葉、日本の日常生活で、今まで生で聞いたことなんてありません。
僕はそこで初めて、SCMが奴隷を作る器具ということに対して信憑性を感じました。
「あの 僕は 」
「大丈夫」
僕が何か言う前に、少年が僕にそう言いました。
「勝負の提案を断る権利はあるから」
ああ。したくなければしなくていいのか。
僕の中の重い何かが、少し軽くなった気がします。