0013 品川 ゼロ (54/103)
返事に困った僕が少年を見ると、少年は男に真っ直ぐな視線で「うん」と答えました。
あ、弟ってことでいいんだ。
「へえ たしかに似てるもんな」
メガネの男は、僕と少年を交互に見てそう言いました。
僕と少年が似ている?
そんな気はまったくしなかったけど、他人から見たら兄弟に見えるのか。
僕には兄弟はいないせいか、悪い気分ではありませんでした。
「それで 俺と勝負するのか?」
男は改めて僕にそう聞いてきました。
平和そのものの昼間の駅前で、他人の大人と勝負だなんてできる訳ありません。
僕がまた答えをためらっていると、男は続けます。
「それとも たまたまSCMを手に入れて 覚悟も無しにひやかしで使おうとしているのか?」
男が言っていることはほとんど当たっていました。
僕には覚悟なんてありません。SCMのことも未だに半信半疑です。
メガネの男の言葉は、答えによっては、怒らせるのではないかと怖くなりました。
「SCMはそんなに甘い機械じゃないぞ」
不意に男の顔が、真剣な大人の顔になります。
僕は慌てて弁解しようとしました。
「い いえ「勝負するよ」
僕の発言と同時に、少年の声がしました。