0013 品川 ゼロ (53/103)
僕が何もできないでいると、メガネの男は車の窓を開け、大きくあくびをしました。
そして少年と僕に言います。
「やあ 勝負かい?」
なんか軽い。まるでゲームの勝負みたいだ。
「え あ」
メガネの男の調子は軽いとはいえ、僕は何を話したらいいか分かりません。
怖いとか、帰るビジョンばかりで、何も考えていなかった。
勝負って、SCMの勝負のことだよな。
頭の中ではパニックな僕に、メガネの男はまた話しかけてきます。
「どうした?つうか若いな いくつだ?」
「あ 18です」
聞かれたままを答えるのが精一杯でした。
「18?学生か?」
「違います」
僕がそう答えると、男は首をかしげてため息を吐きます。
「んー いいなあ 俺も18に戻りたいよ」
メガネの男の様子は、予想以上に気さくでした。
男は車の運転席から顔をのぞかせ、僕の手前にいる少年を見ます。
「この子は?弟か?」
「あ」
なんて答えよう。
実際は他人だけど、説明するのも何か違うし長くなります。
いっそ弟と言った方が話が簡単です。
けど、ヘタなことを言ったら何かとおかしな話になったり、後々に不利益があるような気もします。