0013 品川 ゼロ (47/103)
少年と20分ほど歩くと、サイクリングロードは終わり、駅近くの道路に出ました。
少年はそこで再度、携帯の画面を確認します。
「あ」
画面を見た少年は小さく声を漏らし、SCMを取り出して僕に差し出しました。
「これ着けて」
「え?」
勢いで少年からSCMを受け取りましたが、僕には意味が分かりません。
「GPSじゃ確認できない所まで来た 近くにいるけど分からないからSCMを着けてアラームの確認して」
「アラームの確認?」
「着けた者同士が30M圏内に入ったら SCMからアラームが鳴るから」
少年は背中から、ズボンの間に挟んでいた説明書を取り出します。
「へえ そんな機能まであるんだ」
僕は感心しながら、また手にしたSCMを眺めました。
少年はさっきイジったと言っていましたが、返す前と変わった様子はありません。
「ていうか やっぱり僕が着けるの?」
「うん 僕じゃサイズが合わないんだ」
サイズが合わない?初めて聞きました。
あ、そういえばこれ、あのおじさんが着けたやつじゃん。
少年に返す前に、濡れた布で拭いてはいるけど、それだけで、消毒などはしていません。
僕が躊躇(ちゅうちょ)していると「いいから着けて」と少年が急かしてきました。