0013 品川 ゼロ (44/103)
「ねえ お父さんを負かせた相手 心当たりあるの?」
話し始めた流れにまかせ、僕はまた少年に疑問を聞きました。
少年は立ち止まります。
「手がかりはあるけど なんで?」
手がかりはあるのか。
「他に頼れる人は?」
「いるわけないじゃん」
手がかりはあるみたいだけど、頼れる人はいない。
この少年はやっぱり1人でやろうとしてるんだ。
「やるよ」
僕の口から突発的に出た言葉でした。
少年は僕の言葉に理解できていない様子で、僕を見ています。
「手伝うよ お父さんを負かせた相手を探すの」
僕がハッキリそう言うと、少年はさらに僕に近づいてきました。
「お兄ちゃん優柔不断だよね 見てるこっちからしたら 行動が謎だしイライラするよ」
悪気は感じられないけど、やるって言ってるのに、ひどいな。
こっちだって色々悩んだりしてるんだ。
「人間の心は 複雑なんだよ」
「ふぅん」
ちょっといいことを言った気分でしたが、少年は興味無さそうに返事を言いました。
この状況で僕が言っても、説得力無かったかな。
こうして、僕は少年と共に少年の父親を負かせた相手を探すことになりました。