0013 品川 ゼロ (32/103)

「けど 毎日カニだったらカニがおいしいと思う気持ちより カニの甲羅をむく作業が面倒だと思う方が大きくならない?」



「確かに」



カニは好きだけど、固い甲羅からカニの身をほじくり出す作業は面倒だし、手がベタベタして痒くなります。



おいしいカニという刺激がaで、甲羅をむく作業がb。



少年は説明を続けます。



「時間や慣れによって a過程の刺激による快感より b過程の不満な感情の方が大きくなる これが相反過程説」



少年はまた鼻をクイクイと動かし、付け加えました。



「つまり どんな快感も慣れによって刺激が薄れるという心理行程だよ」



なんとなくは分かったけど、その「つまり」だけを先に言えば済む話だと思います。



「けど SCMはこの心理さえ無効にするんだ」



「どうやって?」



少年は僕の疑問に、不思議そうな顔で僕を見ました。


「聞いて分かるの?」


じゃあなんで話したんだろう。


多分分からないけど、少年は説明を始めました。


「確定はできないけど 刺激をあらゆるアプローチで宿主に感じさせているか 同じ種類のさらに強い刺激を感じさせている」



僕が半口を開けていても、少年は構わず続けます。



「1番有力なのはa過程がドーパミンの作用など 中毒性の高いものだからだと思うんだけどね」



聞くんじゃなかった。