0013 品川 ゼロ (24/103)

少年の父親は脳に関係した医者だったのかもしれませんが、小学生くらいの子供が話してるとは思えない内容です。



少年は太陽の光で眩しそうに目を細め、僕を見ます。



「腹側被蓋野(ふくそくひがいや)だよ 中脳の一部で ドーパミン作動性を司っていると言われている」



ドーパミン?漫画とかで聞いたことがある気がするけど。



「脳内麻薬って分かるでしょ?有名なものだとエンドルフィンやエンケファイン その中の1つがドーパミン」



分かるというか聞いたことしかありません。



少年はつたなく高い声で、難しい話を続けます。



「報酬系は人間や動物の欲求が満たされた時や 満たされたと認識した時に個体に快感を与える神経なんだ」



少年はまた工場の方を見ながら話し続けました。



長いまつ毛と低い鼻、ふっくらした頬っぺの横顔は子供そのものです。



「例えば 喉が渇いている時に 水が飲めると報酬神経が活性化されて快感を感じる」



僕は自然と、少年が見る川のせせらぎを見ます。



「さらに水を飲むことが予測できる状況 例えば水道や自動販売機を見つけた時点でも報酬神経は活性化される」



僕には全然分からないけど、頑張って理解したことを言ってみます。



「水を飲みたい時に飲めたら安心するってこと?」