0013 品川 ゼロ (16/103)
「他にも分かるよ この町には歯医者が7ヵ所 大学病院が1ヵ所 診療所が6ヵ所」
この町の店を、全部把握している勢いです。
「はは すごいなあ そういうのはどこで知るの?」
僕の質問に、少年はポツリと「インターネット」と答えました。
僕はパソコンにあまり縁の無い環境で育ちましたが、周りの同年代にもやたらとデジタルに詳しい奴もいました。
子供がインターネットをしているのは、あまり珍しい事ではありませんが、実際に目の当たりにするとやはりビックリします。
「へえ すごいなあ」
気が付くと、僕は同じ言葉を連呼していましたが、何回褒めても、少年は言われ慣れた様子で無表情でした。
「今日 小学校は?」
別に気を使っておだてる気もありませんでしたが、僕はなんとなく会話が切れるのが嫌で、少年にさらに聞きました。
「あるけど 休む」
「どうして?」
「ママが行きたくなければ休んでいいって」
ずいぶん自由というか、優し過ぎるママだなあ。
けど、他人の家庭の事情に首を突っ込む気はありません。
「そっかあ」
次にこんな所で何をしているか聞こうとも思いましたが、余計な事に首を突っ込むのは昨日でこりました。
頭の中で、少年に何と言って別れようか考えようとした時。
「昨日 ここでおじさんに会わなかった?」
少年は僕にそう聞いてきました。