0013 品川 ゼロ (15/103)

少年は僕の仕事を当てるクイズに、自転車のカゴに入っている荷物と、僕自身を交互に見てきます。



「んー じゃあパン屋の工場で働いてる人だ」



「え?」



何で分かったんだ。



「すごい 正解だよ どうして分かったの?」



僕は驚いた様子でそう言いましたが、少年はさっきまでと同じ、落ち着いた様子のままでした。


「この辺で 夜勤がある仕事はパンの工場だけだし」


「へええ 詳しいね」


素直に感心しましたが、次の瞬間に、もしかしたら親が同じ工場で働いているのかもと思いました。


「お父さんやお母さんがパンの工場で働いているの?」


僕がそう聞くと、少年は首をふります。


「ううん 違う」


じゃあ、なんで僕がパンの工場で働いてると分かったんだ。


「この辺の工場の仕事は全部知ってるんだ」


少年は、川の先に見える大きな建物達を見ながらそう言いました。


「あれはタイヤの工場で あれは芝刈機」


少年が指差す先にある建物は、確かにタイヤや農業トラクターの製造工場です。


「すごいなあ よく知ってるね」


よくテレビで、駅名や電車の名前を丸暗記する子供は見た事あるけど、工場のシフトまで暗記してる子供は初めて見ました。