0013 品川 ゼロ (13/103)
朝方に仕事が終わり、気は進まなかったけど、その日も土手沿いのサイクリングロードを通って帰りました。
昨日と同じように、爽やかな朝日が照らすきれいな景色でしたが、今日の僕は自転車を降りません。
ゆっくり歩いていたら、またあの医者のおじさんが倒れているような気がするんです。
もう、ああいう面倒事は嫌です。
この瞬間も、警察から電話がかかってきたりしないかとか、何も悪くなくても、やましい不安を感じてしまいます。
やっぱり僕は、人と関わるのを極力避けて生きたいと思いました。
たまたま自転車をこぐのを止めて、推進力にまかせて低速で自転車を進めている時。
向こう側に、子供が立っているのが見えました。
こんな朝早くに、小学校高学年くらいの少年がいます。
通学途中かとは思いましたが、早朝過ぎるし、何より少年はランドセルも背負っていません。
疑問には思いましたが、そのまま通り過ぎようとしました。
すると少年は突然。
「おはようございます」
自転車を走らせる僕に、挨拶をしてきました。
「あ」
僕はそうつぶやきましたが、自転車を止めることなく、そのまま走り続けてしまいました。