0013 品川 ゼロ (6/103)
退屈な作業ですが、仕事中も頭の中で色々な空想ができるようになりました。
人との付き合いはパートのおばちゃん達と、班長のおじさんくらいです。
休憩中はみんな優しくしてくれて、毎日お茶とお菓子をくれます。
僕はこの仕事と、誰とも深く関わらない生活がとても気に入りました。
そんな仕事に慣れ始めたある日。
夜勤の仕事が終わり、早朝に帰る日がありました。
ドラマに出てくるみたいな川原の土手を自転車で走っていましたが、なんとなく自転車を降りてみました。
自転車を押して、土手際の道を歩いているとまぶしい朝日をゆっくり見ることができます。
仕事と眠気で少し気だるくても、夜勤明けの朝日は大好きです。
僕はいつの間にか立ち止まり、ボーッと空を眺めていました。
薄い水色のコーヒーに、点々とクリームをにじませたような空が視界いっぱいに広がっています。
まだ少し寒い4月の朝。
そんな朝の空の向こうには、爽やかに輝く太陽が見えます。
この辺りは工業地帯で、景色には大きく質素な建物が目立ちます。
けれど太陽の前では全てが影になり、川は反射して無限に輝くんです。
ああ。なんてきれいなんだろう。