0013 品川 ゼロ (5/103)
高校を卒業して、僕はお菓子作りが勉強できる学校に行きたいと思っていました。
甘い物を食べている時だけ、僕は何も考えずに幸福に浸ることができます。
甘いお菓子は幸せな気持ちにさせてくれるんです。
幼い頃は、それが不思議でたまりませんでした。
けれど、里親もいない僕は経済的な理由で早く働く必要がありました。
その気になれば、製菓学校に行くお金の工面は奨学金などでどうにかなりました。
けれど本当に嫌だったのは、人や何かにお金を借りることでした。
背負うことなく、早く自分の足で立ち、自分が稼いだお金でご飯を食べ、誰にも迷惑かけずに生きたかったんです。
僕は最低限世界に迷惑をかけたくない。
だから、世界は僕を否定しないで欲しい。
高校卒業後に僕が働き始めた工場は、スーパーやコンビニで並ぶパンを作っています。
本当はダメらしいけど、毎日商品にできない菓子パンがもらえるんです。
僕は甘い菓子パンも大好きだから、夢の様にうれしかった。
初めは立ちっぱなしの作業に、足が痛くなりましたが、それもやがて慣れました。