0012 墨田 ズシオウマル (67/71)
私は感動していた。
エイアは何て美しく、優しく、純粋なのだろう。
例え鬼ですら、エイアにここまで言われたら改心をする。
睨むエイアと、無表情のユウガが見つめ合う。
数秒の沈黙が続いた。
感情的に聞こえるエイアの話だったが、ほとんどユウガの条件を飲んでいる。
ユウガに不利な話はまったく無い。
彼女はただ、私とアヤくんの安全の確率を上げ、ユウガを奮い立たせようとしただけだ。
ユウガの心に、エイアの言葉が届かないはずは無かった。
「アヤカ 勝負を続けろ」
「は?」
何だと?
アヤくんは慌てて机に転がったナイフを手に取り、また切り始めた。
「何言ってんのあんた」
エイアの表情がみるみる歪む。
「何言ってんのあんたはああ!!」
悲鳴の様なエイアの声が、部屋に響いた。
ユウガは鬼ではない。
外道だ。
ガッチン
アヤくんは切ったナイフを口に入れた。