0012 墨田 ズシオウマル (63/71)
「ステンレスには不動態膜というものが張られていて サビの進行を抑えている 犬にも人体にも まあ毒素は無い」
ユウガは説明しながら、口に親指を当てていた。
「ぁ」
アヤくんはついに、一口目のフォークの破片を飲み込み始めた。
「何やってんのあんた」
エイアはペンチを握り、立ったまま放心状態だった。
だが私はすでに覚悟している。
「グォン!」
カチャン
私は鼻先で皿の上のナイフとフォークを鳴らし、エイアに意思を示した。
エイア早くしろ!
私なら平気だ!
だが、さすがに丸々一本は口に入らない!
だからと言って、犬の私にペンチは扱えないのだ!
「オン!オン!」
エイアが切ってくれないと、ステンレスのナイフとフォークは食べられない!
「できないし!」
エイアは泣きそうな顔で首を振った。
ユウガは笑いもせず、静かにこちらの様子を見ている。
ガチン
アヤくんがさらにフォークを切る。
「オン!アオン!」
エイア!切ってくれ!
早くしないと負けてしまう!