0012 墨田 ズシオウマル (46/71)
「あたひ!奴隷だから!入ってにゃきゃ!入ってなきゃ!入ってなきゃ!」
恐らく長時間の低温で、うまく立てないのもあるのだろう。
「っざけんな!バカ!何考えてんの!」
「エイハが勝負してくれるまで!入ってなきゃ!入ってないと!」
私は口に力を込め、キバをギリギリと研いでいた。
「エイア 君は顔見知りを犠牲にできない」
振り向くと、ユウガがいた。
「ガアッ!」
外道めえ!
私は今にもユウガに飛びかかろうとしていたが、エイアの片手が私の頭に触れている。
エイアの冷えきった手の感触で、私はユウガの言葉を思い出していた。
こちらの出方次第で、ユウガはアヤくんを更に酷い目に合わせられる。
私は必死で自分を押し殺していた。
私は自身の感情を反らす為に、ユウガの先ほどの言葉を考える。
ユウガの言う通り、エイアは一見冷静で冷たい人間に見られがちだが、誰よりも周りに心を配っている。
何より、人を見捨てる人間ではない。
「フッ フゥッ フ」
凍えに耐えるアヤくんの吐息が、風呂場に響く。