0012 墨田 ズシオウマル (45/71)
アヤくんは、裸で、ただ静かに湯船に浸かっていた。
だが風呂場に入った瞬間、違和感を感じた。
違和感の原因は、湿気と気温にあった。
風呂場独特の湿気が無い。
冷気すら感じる。
そして、湯船の水には何か透明な物が浮いていた。
アヤくんの顔は凍りつき、暗がりでも唇が変色している事が分かる。
彼女は、自身の身体を必死で抱き締め、ただ一点を見つめて何かに耐えている。
湯船に張った水に浮いているのが、氷である事には、すぐに気付いた。
彼女は氷の風呂に入れられていたのだ。
恐らく長時間。
「何やってんのお!」
エイアはそう叫び、すぐに湯船に近付いて、アヤくんを引きずり出そうとする。
バチャ カラン カラン
水と共に、氷が床で響いた。
ザブ バチャ
「出なよ!死ぬよ!」
だが、アヤくん自身がそれを拒否した。
「あ!は!ら」
震えで、うまく喋れない様子だ。
「ら らめなのお!入ってなひゃ!入ってなひゃ!入ってにきゃ!」
エイアはアヤくんを立たせようとするが、アヤくんは断固として立ち上がろうとしない。