0012 墨田 ズシオウマル (42/71)

扉の先のベッドに、1人の人間が座っていた。



部屋には、あの手紙と同じ香水の匂いがする。



部屋は薄暗いが、そいつは馬のかぶり物を被っているのが分かった。



馬の人間が言う。



「ようこそ」



馬の人間は手を広げ、立ち上がった。



「私は頭がおかしい人です」



首から下の服は男性用のスーツ。



被り物で声がこもって、分かりにくいが、男の声だった。



いやむしろ。



ピピピピピピ



突然、頭のおかしい男から携帯の着信音が鳴った。



エイアを見ると、耳に携帯電話を当て、誰かに電話をかけていた。



「何やってんのあんた」



エイアはこの場でユウガに電話したのだ。



鳴ったのは、頭のおかしい男の携帯だった。



「あら?」



被り物の男は、明らかにユウガだった。



「はあ」



エイアがため息を吐く。



「バレた?」



「マジ呆れた」