0012 墨田 ズシオウマル (41/71)
車を1時間程度走らせると、目的のホテルに着いた。
ユウガに呼ばれたのは、都内のとあるホテルだった。
人間の男と女が交尾を楽しむ為の、俗に言うラブホテルだ。
エイアはペットの入場禁止を理由に、私を車に置いて行こうとしたが、そのホテルは犬の入場も可能だった。
そんな施設が滅多に無い事は、私にも分かる。
「ズシも呼ばれてたみたいだね」
そう。私が来るのも予想されている。
エレベーターの中で、エイアはユウガに電話をかけたが、ユウガは電話に出なかった。
指定された部屋の前に立つと、エイアは私を見る。
私は緊張を感じていた。
エイアも同様かと思ったが、私が見たエイアの表情は無表情だった。
エイアはまるで、これから子供を叱りに行くような母親の落ち着きでいた。
「怖い?ズシ」
「バウ」
怖く 無い。
重い扉を開けると、更に1つ、玄関先に扉があった。
扉に取り付けられた小さなガラス窓を見ると、部屋が暗い事が分かる。
入った瞬間、ユウガとアヤくんの匂いがした。
「お邪魔しまあす」
エイアはそう言うと、さらにもう1つの扉を開けた。