0012 墨田 ズシオウマル (24/71)
コンビニエンスストアだ。
手前で、エイアが言う。
「あ ちょっとトイレ行かせて」
「あ ああ」
ユウガがコンビニエンスストアで車を止めると、エイアは急ぎ足で車を出た。
車内には、私とユウガだけになる。
ピピピピ
ユウガの電話が鳴った。
ユウガは携帯に出るのを一瞬躊躇(ちゅうちょ)した。
「ああ 久しぶり」
ためらった後に出る電話。今の間は何だったのだろう。
電話の向こう側からは、若い男の声がした。
明らかに怒鳴って、怒っている。
「そう言うなって」
電話の相手の調子とは反対に、ユウガは笑いながら応えていた。
相手はしきりに、ユウガの居場所を聞いているようだ。
「今は友達といるよ」
「返すよ ちゃんと」
まるで女をなだめるような調子で、ユウガは話していた。
「へえ デリヘルの店長?」
デリヘル?ゼンイチもそんな話をしていたな。
電話の相手は、明らかにゼンイチでは無いが。
「悪かったけど 今はあの金が必要なんだ 必ず返す」
話の中心はどうやら金の様だ。
借りた金を返していない、友人からの電話だな。