0012 墨田 ズシオウマル (21/71)
どうやら、まだエイアはSCMを着けていないようだが。
ユウガは着けているようだ。
この青年が、エイアをSCMに巻き込んだのは2人の様子から分かった。
「クゥン」
「どしたのズシ なんでそんな悲しそうな声出すの?」
私の嘆きに、エイアが労る。
私の失敗が巡り巡って、エイアにまで及んでいたのだ。
やはりあの夜、世田谷に吠えていれば。
親愛なるエイアが、未完成の汚らわしいSCMに関わる事は無かった。
犬の私には、もうどうする事もできないのだろうか。
「犬から事の経緯は聞けないしなあ」
ユウガがそう呟く。
会った時に感じた。
ユウガからは、人間の男の精液と、女の唾液と愛液の乾いた匂いがする。
男の方の匂いは、大田ユウガの匂いで間違い無い。
だが女の匂いは、エイアのものではない。
エイアの匂いならば、私も辛いものがあるが、断じて違う。
この男は、他の女の匂いを放ちながら、エイアと馴れ馴れしくしているのだ。
それがユウガに感じた、違和感の原因だ。