0001 港 タキオ (6/19)

電話の相手は大学の友人で、今から飲みに行かないかと誘われた。この友人の「飲みに行こう」は、居酒屋経由のキャバクラコースだ。


時々は付き合うが、今日は断わろうかと思うとスロットで大勝ちしたので飲み代はおごると言い出した。


ケチな印象は無いが、正直そんなに仲のいい関係でもないので驚いた。


何か理由があるのかもしれないが、行かない理由も無い。僕はすぐに準備をして家を出た。


2月の夜の外。


厚着をしていても素肌の顔や、防御力の低い足に凍てつく空気を感じる。


都内場末の飲み屋街を歩いていると、夜の仕事をする女性達がよく視界に入った。


明るく盛った髪の毛に、スッピンなのか夜でもかけるサングラス。白と黒で出来た、チェックのコート。


コートの隙間からは細身の体に大きくて高級な卵の様な胸の谷間が見え、コートの下の方からは長くて細い白過ぎる足が出ている。


いい足してるな。


その女の足を見た瞬間、あの足を自分に絡ませ、足の甲に頬ずりするビジョンを妄想した。次に、この寒さでよく足が出せるなと尊敬する。


僕は異常じゃない。


男が女を見た時に考える事は大体こんな事だ。