0012 墨田 ズシオウマル (16/71)

私は、世田谷に対する憎しみを更に募らせた。


墨田教授の神聖なる研究を奪った挙げ句、勝手な改造を加えた世田谷は外道の極み。


だが皮肉な事に、それによって私は人間を従わせる事になった。


悪い気分では無いが、気になる事がいくつかある。


ゼンイチに案内されたアパート。


部屋の表札には目黒と書かれていた。


私はてっきり、ゼンイチの名字が目黒かと思っていたが、ゼンイチはアパートをよじ登り、ベランダ側の窓から部屋に侵入したのだ。


一瞬は単に鍵を無くしただけか、他人の家に不法侵入したのかと思ったが、ゼンイチはどうも部屋の勝手を分かっている。


だが、部屋の中はゼンイチの匂いがほとんどしない。


違う男の匂いがする。


部屋に入ったゼンイチは、真っ先に携帯を充電し、電話をかけた。


「おい!目黒!テメー今どこだ!」


その発言で、この部屋がゼンイチのものでは無い事が分かった。


「ああ?探しに行った?つうかテメー帰ってくんな!」


どうやら、目黒という男はゼンイチに頭が上がらないらしい。


「ん?待てよ?」


ゼンイチは突然、謎の質問を電話の相手に聞く。



「お前 まだ俺の奴隷か?」