0012 墨田 ズシオウマル (13/71)

『 キュイ─ギ─ン 』


私の口の中で、突然振動が起きる。


まるで錆びた鉄を擦り合わせたような、不安定な振動だった。


これが、墨田教授の言っていたSCM同士の共鳴か。


本来、この機能は取り除かれるはずだった。


飼い主とペットの間で、いちいち共鳴してもはた迷惑というのが結論だ。


だが、ついに世田谷を見つけた。と私は思い込んだ。


憎き世田谷。


首を食い千切ってくれる。


私は以前、エイアの父上と見ていたテレビの時代劇を思い出す。


あの時間が、私は好きだった。


悪を裁く正義の刀。


時代劇はいい。


だが違和感を感じた。


周りに世田谷の匂いがしない。


世田谷の不快な体臭の匂いは忘れもしない。


わずかに血の匂いは感じていたが、世田谷の匂いが感じられないのだ。


だが、やっと掴んだ手掛かりに私は走った。


血の匂いの先に、共鳴の答えがいる。


『 キュイ─ギ─ン 』


移動すると、2回目の振動が起きる。


それにしても不快な振動だ。


私のSCMは試作品で、更に古い為か、共鳴が不安定なのかも知れない。