0012 墨田 ズシオウマル (12/71)
男が私の首輪に触ろうとした。
触るな!
「ガルルル」
私は唐揚げを食べるの止めて、男に唸った。
「おわ こわ!悪かったよ!」
男は私から離れるが、牙をむき出しにした私の顔を見ていた。
「あれ?なんかこいつ 口ん中に金具みたいな物が 」
墨田教授から貰った、SCMがバレたか。
君達には関係無い。
女も私の口を覗こうとするが、私は唐揚げの最後の一口を食べ終わり、いい匂いの女から離れる。
「目的は食べ物かよー やっぱ犬だなー」
ああ。そうだ。君達に興味は無い。
「飼い主を探してるのかな?」
違う。主人の仇と姉を探しているのだ。
興味が無いと言ったが、いい匂いのする女はどことなく、エイアに似ている。
いや、むしろ遠い記憶の、アンジュにも似ている気がした。
どうも、人間の顔を覚えるのは苦手だ。皆同じに見える。
私は彼らに尻尾を向け、また暗い夜道を歩き始めた。
お嬢さん、恩は必ず返す。ありがとう。
私は今晩の寝床を探しながら、その辺りをさらに放浪していた。