0012 墨田 ズシオウマル (9/71)

私は世田谷を許さない。



あの夜、世田谷が研究の成果を盗んだ夜。



私が吠えれば、墨田教授は死ななかったかもしれない。



SCMさえ着ければ、いつか世田谷に会う事ができる。


感謝すべき人を私は忘れない。



エイアから貰った、ズシオウマルという名前が入った首輪。



人の言葉を喋れない、私は歯がゆいと思う。



墨田教授を忘れない為に、私は名字を墨田とする。



この世で、喋れない私による私しか知らない、私の誓いだ。



私は私の中だけで、自らを墨田ズシオウマルと呼ぶ。



死んだ墨田教授の家から去り、1年が経った。



エイアから貰った大切な首輪がほころび初め、少しきつくなる。



それに気付いた親切な人間が、私の首輪を緩めてくれたりもした。



だが、私は基本的に、大切な首輪を触られる事をひどく嫌う。