0012 墨田 ズシオウマル (6/71)

「ズシ 騒ぐなよ?」



嫌いとはいえ、主人の大事な弟子。吠えたり噛んだり粗相などはしない。


世田谷はパソコンのキーボードを叩き、マウスを操作しはじめた。


普段は物静かな青年だが、その夜は私に特に話しかけてきたのを、よく覚えている。



「墨田教授は天才だよ」



「でも才能の使い道を間違えている」



墨田殿をバカにする発言に不快感はあったが、私は我慢した。



「ペットの躾をしてくれる装置?そんな物誰が欲しがる?」



「そんな商品を売るより もっと簡単に儲かる方法があるのにさあ」



「コントロールメソッドの装置を応用すれば」



暗い研究室の中、パソコンからの光に照らされ、世田谷は邪悪に笑う。



「人ですら奴隷にできる」



後日、今まで墨田教授が研究した成果と、弟子の世田谷が消えた。



残されたのは、試作品のSCM1つだけ。



墨田教授はそれをきっかけに、すっかり気落ちしてしまった。