0011 中央 アタル (137/142)
全員が中野タイジュを見るが、彼は足立シヲリを見ている。
「万が一とかあるし 俺がやります」
まあ、確かに女の足立シヲリがやるより、仮にも男の中野タイジュがやる方がいいか。
こいつ本当に足立シヲリを大切にしているんだな。
「中野ちゃん 」
「まだ勝負始めてないっすよね?」
中野タイジュの質問に、足立シヲリはただうなずく。
中野タイジュは足立シヲリの前に入り、後部座席のゼンイチを覗き込んだ。
「うお!ゼンイチ血だらけじゃん!つうか指ねえじゃん!」
まあ、何でもいいからさっさとやってくれ。
「あ 中央」
あ、中央 じゃないだろ。
「さんを付けろ」
お互い言いたい事がある空気だが、俺はその一言で済ませた。
一瞬の間が空いた後、中野タイジュはゼンイチに顔を向ける。
「勝負の内容は殴り合いだ」
ジッジジジ
中野タイジュはそう言いながら、ゼンイチの口に巻いたテープを剥がし始めた。
「デメ ぶ」
バチン!
口からテープを剥がした瞬間、ゼンイチが何か言おうとしたが、中野タイジュが奴の頬をおもいっきり殴る。