0011 中央 アタル (129/142)
俺に殴られたゼンイチはその場にぶっ倒れ、まだうめいている。
俺はすでに外していたネクタイを取り出し、ゼンイチの右手首に思いっきり巻き付けた。応急だが止血はできたな。
一生ぎこちない自慰をすることになるかもしれないが、まあ死にはしないだろ。
「自業自得だな」
俺は一言そう言うと、開けたままの後部座席に置いておいたバスタオルを広げ、ゼンイチを担ぎ込んだ。
頼むから血で車内を汚すなよ。
「運転できるよな」
立ち上がった足立シヲリにそう聞くと、彼女は「え はい」と答える。
俺も後部座席に乗り込み、運転席に座った彼女に車のキーを渡した。
足立シヲリは素早い流れでキーを回し、エンジンを鳴らす。同時に座席も前に押した。
落ち着いた様子でパーキングから車を出し、車道に出る。
運転は問題無さそうだな。あんな状況を体験した直後なのに大したもんだ。
だがパーキングには大抵監視カメラがあるし、さっきの銃声も街中に響いただろうな。