0011 中央 アタル (128/142)
俺も足立シヲリも一瞬、強く目を瞑った。
俺は体のどこにも痛みを感じない。
ゆっくり目を開けて、その理由は分かった。
「へ?はっ?」
ゼンイチが驚き、不思議そうに自分の右手を見ている。
一瞬は、ただなんとなく奴の右手が赤黒く濡れているように見えた。
しかしよく見るとゼンイチの右手はズタズタに吹き飛び、人差し指と中指が無くなっている。
「お゙あ゙!」
暴発したんだ。
「いでえ!いでえぐぞ!」
ボタボタと血を流し、左手で右手首を押さえている。
足元を見ると、銃のグリップ部分や細かな破片、めくれた空き缶の欠片もある。
そしてゼンイチの指らしき物が転がっていた。
クラブで1発目を撃った時、銃自体が壊れる様子は無かった。
さっき落とした時、打ちどころが悪かったか。
「ぐぞ!ぐぞう!」
俺はすぐに、隙だらけで騒いでいるゼンイチに駆け寄る。
ゼンイチが俺を見た瞬間。
バチン!
俺は奴のアゴをぶん殴った。
「大きな破片だけでいいから バッグに入れろ!」
俺が足立シヲリにそう言った時、彼女はすでにしゃがみ込んで破片をつまんでいた。
そしてゼンイチの指も、ハンカチにくるんでいたのが見える。
まだ19歳なのに、つくづく仕事ができる子だ。