0011 中央 アタル (124/142)

セキュリティはすぐに若者の腕を掴み、捕まえる。


若者はかなりの大声で怒鳴りだした。


「女の子に乱暴してたんだよこいつ!止めて何が悪いんだよ!っざけんな!離せ!」


周りにいる人間は、若者とセキュリティを中心にドーナツ状に散って野次馬こいて注目しているようだ。


「痛タタタタ!ごめんなさい!調子こきました!」


野次馬の中心から、さっきまでの勢いからうって変わり、情けないセリフが聞こえた。


折れるの早いな。


それにしても室内は爆音の重低音が流れているのに、それを貫いて出口のここまで奴の声が聞こえる。なんてバカデカイ声だ。


ちょっとした騒ぎになったが、お陰で足立シヲリはどさくさに紛れてこの出口付近にまで向かって来れた。


「大丈夫か!」


「あ!はい!」


足立シヲリの無事を確認すると、俺達は足早にクラブを出る。


視界の外れで最後に見た時、あのシンノスケとかいう若者はセキュリティに2人がかりで取り押さえられていた。


まあ問題を起こしたとはいえ、周りに一部始終を見ていた証人もいるはずだ。警察沙汰までにはならないと思うが。


とにかく、あのシンノスケとかいうライオン頭のお陰でゼンイチを取り押さえたまま、無事にクラブを出ることができたな。