0011 中央 アタル (117/142)
俺はゼンイチの首元を引っ張り、出口のカーテンに向かいながら、倒れたまま両手を頭に乗せた手下ゴリラどもに言う。
「店内に見張りがいる 店が終わるまでそうしていろ 外に出たら撃たれるぞ」
「わか った」
素直に俺のハッタリに従う様子の手下どもと、脅えたルシエを部屋に残し、俺とゼンイチはカーテン先の通路に出た。
「あ」
カーテンを出た瞬間、足立シヲリがバッグ片手に俺とゼンイチを見る。
「成功だ 行くぞ」
俺は一言そう言いながら、ゼンイチを引っ張り、止まらず歩き続ける。
足立シヲリは何も言わずに後ろを着いてきてくれているが、ゼンイチが足立シヲリを見て「テメー」と言った。
すると足立シヲリは俺達に足早に近づき、腕を挙げ、構えると。
バチン
「おぶっ」
ボフッ
彼女は勢い良くゼンイチの鼻を肘(ひじ)で殴り、さらに腹にもパンチした。
「テンメ!ゴラ!」
「あたしにした事!絶対後悔させっからな!」
「ああ゙!?」
いきり立ち、シヲリに掴み掛かろうとするゼンイチの首に、俺は空いた片腕を回し込む。
「まあまあ 後にしろ」
それはゼンイチではなく、足立シヲリに言ったものだった。
足立シヲリの怒りも分かるが、ゼンイチを押さえ込む身にもなって欲しい。