0011 中央 アタル (116/142)
「いあああ!」
ルシエは耳を塞ぎ、その場から動かないでいてくれた。
あの様子なら、俺に向かっては来ないだろう。
SCMでも、生死に関わる命令はできないと、今目の当たりで立証されたな。
俺は目を座らせて冷たい表情を作っていたが、内心ではホッとしていた。
杉並ルシエを救ってくれという、目黒マサカズの願いも果たせそうだ。
ゼンイチは鼻周りにシワを寄せて、彼女をさらに睨みつけたが、奴がルシエに顔を向けている隙に、俺はゼンイチの横腹に銃口を着けた。
「いい加減にしろハゲ」
銃口に固定した空き缶の底は、ひまわりみたいに変形した穴が空いている。
シャツ一枚のゼンイチの肌に、まだ熱いチクチクを突き立ててやった。
「な?おとなしくお兄さんと来ような」
ゼンイチはくやしそうに俺を睨んだ。
呪いと気合いで俺を噛み殺そうとするような、おっかねえ顔しやがる。
とはいえ王手飛車角取り、香車は戦意喪失って感じだな。