0011 中央 アタル (109/142)
ルシエは半口開けて座ったまま、俺とゼンイチを交互に見ている。
壁は防音、カーテンも厚手、下のフロアよりも音量は低いが音楽もかかっている。
怒鳴り声くらいなら、外に聞こえなさそうだな。
「動くな」
俺はそう言って、スーツの下の物をスーツ越しに、ゼンイチたちへ突き付けた。
ドラマや映画でよくあるようなワンシーン。
スーツの下には大抵拳銃がある。
ゼンイチ達は、勃起したみたいに盛り上がった俺のスーツを見て鼻で笑った。
「なにこいつ!脅してんだけど!」
「はは!バカじゃねえの!?つうか指じゃね?」
周りの手下ゴリラも、軽ノリで笑いながら俺を指差しバカにする。ウホホウホホ。
「指かもな」
俺は静かに笑いながらそう返し、続ける。
「だが本物かもしれない ゼンイチ 悪い事は言わないからお前1人だけ俺に着いて来い」
「おい ルシエ」
「え?はい」
ゼンイチは俺の指示を無視して、ルシエに話しかけた。
「俺とこいつは追いかけっこして ぶっ飛ばしたら負けという勝負をしているが 今奴は俺を見つけた」
ゼンイチは俺を見ながらルシエに続ける。
「だが奴は俺を殴ろうとしねえ 勝負が着く為なら とにかく俺をハッ倒せばいいのに なんでそれをこいつはしねえ?」
くそ。バカのくせに面倒臭いことに気付きやがった。