0011 中央 アタル (107/142)
「まずは奴を脅して車まで連れ込む」
「もう1人の なんとかルシエって子は 」
「ルシエはゼンイチの奴隷だ ゼンイチさえ奴隷にできれば自動的に手に入る」
「ああ」
足立シヲリは納得した様子だ。
俺はバッグの中の物をスーツの裏に隠し、準備を整える。
よし。
「行くぞ」
「あの」
俺が勢い良く立ち上がると、足立シヲリが話しかけてきた。
「なんだ」
「ソレ まさか本当に使わないっすよね」
ソレと言った足立シヲリの視線は、俺のバックの中のアレだ。
「使わない事を祈ってくれ」
俺はそう言いながら、机の周りを歩き、カーテンに近付いた。足立シヲリも続いて立ち上がる。
自分たちの部屋を出て歩いて十数歩、ゼンイチがいる部屋のカーテンの手前で立ち止まる。
「君はここにいろ 俺とゼンイチが出て来たら先導してくれ」
俺が小声だが、ハッキリと足立シヲリの耳元にそう言うと、持っていたバッグを彼女に差し出す。
彼女はバッグを受け取り、強く頷いた。
ゼンイチのアパートの時みたいに、同時に部屋へ入るなんて事は、さすがにもう無いな。