0011 中央 アタル (104/142)
一瞬で気付き、思わず身を引いてしまったが、次の瞬間にはゼンイチ以外にも数人の人間がいたことが気になった。
俺はもう1度、ゆっくりとカーテンと壁の間を覗き込んだ。
まずはソファーの中心に座るゼンイチ。
隣にいる女と何か話している。
その隣の女。
写真と一致する。
恐らくあの女が杉並ルシエだ。
そして2人の左右には、日本人だがいかにも戦闘力の高そうな男が2人いる。
どちらも大柄で、半袖のシャツから刺青が描かれた太い腕が見える。
俺はすぐにその場から離れ、後ろに立っていた足立シヲリを連れて階段を降りた。
降りてから、上のフロアから死角にあたる場所で立ち止まる。
「いた?」
足立シヲリも俺の様子からゼンイチの存在を察したようだ。
「ああ だが厄介だ」
俺はゼンイチがいた空間の様子を足立シヲリに話した。
ゼンイチと共にいる杉並ルシエはあまり問題ではないが、ゼンイチの仲間らしき男が2人もいる。
さすがの俺でもあんなゴリラ共を3人相手にして、足立シヲリにゼンイチとSCMの勝負をさせるなんてできない。
くそ。
あの時車でゼンイチ本人を轢いていれば、どんなに楽だったか。