0011 中央 アタル (102/142)
足立シヲリの前を歩きながら、VIPフロアに続く階段を登る。
登った先には、セキュリティと書かれた黒いシャツを着たプロレスラーみたいな日本人の男がいた。
ドラマやマンガに出てくるセキュリティスタッフのイメージと、そのままだな。
足立シヲリが何やら話すと、道を開けてくれた。
俺は軽く頭を下げて、礼を表した仕草を見せたが、セキュリティはアゴを上げたまま俺をただ目で追っている。
なんだコイツ。
少しイラッとしたが、ゼンイチがここに逃げ込んだ理由が理解できたぞ。
居場所がバレても、クラブのVIPに逃げ込めば一般人の俺たちは入れない。
追っ手が来ても、セキュリティによって阻まれてしまう。
そのまま、やり過ごせば奴の勝ちだ。
だから奴はここに逃げ込んだんだ。
だが、こちらには足立シヲリがいた。
この女は単にこの地域でクラブ遊びをしていただけだろうが、こいつの人脈が恐ろしく役に立った。
足立シヲリを派遣したリュウオウですら、予想していなかっただろうな。