0011 中央 アタル (96/142)

「まあ 文京ゼンイチという名前で聞き回るしかないな」


俺がそう言った瞬間、足立シヲリは早速近くに立っている2人の黒人達に近付いた。


おお。こういう時は特に役に立つな。


「エクスキョーズミー ウィーノウゼンイチブンキョウ?」


足立シヲリが喋った英語は、思いの外つたないものだし何か間違ってる気もするが、意味はなんとなく伝わるか。


黒人達は互いの顔を見て、しっくりしない顔をしている。


そして手前の黒人が足立シヲリに首を振りながら、口を開く。


「知らへんで」


マジかよ関西弁だよ。


足立シヲリも少し驚いた様子だったが、礼を言い、俺も軽く頭を下げた。


外国人と絡むなんて滅多に無いからドキドキしたが、意外に日本語喋れるもんだな。


その場から歩き始め、辺りを見回すが、街の景色に手掛かりなんてあるはずがない。


「多分この辺りなんすけど」


沈黙が続くと、足立シヲリは場を繋ぐようにそう言ってきた。


別に彼女は何も悪くない。


人や店が多い中、あやふやなGPSでSCMの所有者を見つけるなんてかなり難しいんだ。


しかも時間が無い。


腕時計を見ると、時間はすでに2時。


あと、およそ4時間でゼンイチはSCMを外せる。


杉並ルシエらしき反応もすでに無い。SCMを外したのだろう。


参ったな。


今結構、まずい状況だぞ。